YIDFF2025シンポジウム「わがまちの映画資料―ユネスコ世界視聴覚遺産の日を祝して」の記録動画が公開中。ファシリテーターを務めた石原香絵さんの著書『日本におけるフィルムアーカイブ活動史』について!
giinika10号にご登場いただきました、石原香絵さんがファシリテーターを務められたYIDFF2025でのシンポジウム「わがまちの映画資料―ユネスコ世界視聴覚遺産の日を祝して」の記録動画が、このたび山形市創造都市推進協議会のホームページ上で公開されています。
韓国・釜山、浜松、福岡、広島と国内外で映画資料の収集・保存に取り組む専門家のみなさんの具体的な実践例、地域と映画をつなぐ企画やアイデアは、分野に縛られることなく得られるものの多い貴重なお話ばかりでした。
そして石原香絵さんは山形ドキュメンタリーフィルムライブラリーの調査員として、収蔵庫の映画祭応募作品をはじめとするフィルムの調査にかかわられていますが、その石原さんのご著書『日本におけるフィルムアーカイブ活動史』(美学出版、2018年)が、壮大な素晴らしい一冊です。フィルムアーカイブ活動、特に国際的な潮流のなかの日本のフィルムアーカイブ活動の歴史や課題が膨大な参考文献と綿密な注釈により具体的に提示されていますが、映画や芸術にかかわる著名な人物たち、例えば川喜多かしこや瀧口修造、今泉篤男らがこんなふうに日本における映画およびフィルムアーカイブの歴史に貢献し、接点を持っていたのかと、読み進めるなかで驚き感動すること多々、単なる歴史ということではなく、フィルムアーカイブに尽力してこられた個人への深い賛辞と継承への意志が深く感じられ胸が熱くなる学術書です。それゆえ、専門的でありながら非常に読みやすく、フィルムアーカイブを学ぶ方々のみならず、紙やあらゆる資料の記録・保存活動に興味をもつ方々に多くの示唆を与えてくれると思います。
「わがまちの映画資料――ユネスコ世界視聴覚遺産の日を祝して」のシンポジウムのなかでも話題となっていた動的映像アーカイブの「3C原則」、〈コンテンツContents=内容、中身〉、〈キャリアCarrier=素材、モノ〉、〈コンテクストContext=文脈、環境〉、これらは三位一体で収集・保存されるべきである、ということについても、本書のなかで詳しく触れられています。giinika10号制作のなかでも、「なぜフィルムなのだろうか」と個人的に抱いた問いがありましたが、それらに正面から深く答えてくださったのが、この石原香絵さんのご著者およびご活動と、神戸映画資料館館長の安井喜雄さんの言葉およびご活動でした(神戸映画資料館についても本書で少し触れられています)。
「映画が作成された時代における意味を洞察するとき、作成時に使用された技術や作成者の動機といったコンテクストからコンテンツを切り離すことはできない」(序章より)との石原さんの言葉は、あらゆる記録や歴史と向き合う際に、また科学技術の発展した現代においてあらゆる動画や事象と出会う際に、ぜひとも心に留めたい言葉です。
シンポジウムのアーカイブ映像と合わせて、ぜひみなさまご覧ください。

