矢野和之さんのお別れ会で東京へ
山形国際ドキュメンタリー映画祭に創設からかかわられた矢野和之さんのお別れ会で、久々に東京へと向かった週末。
「ドキュメンタリー映画が、現実から出発して、具体的な人間の顔を映し出すように、ドキュメンタリー映画祭は、運営にしても観客にしても具体的な人間関係に基づいて実施され参加されていくのが理想的だ。」
「小川監督と折りにふれ話したことは、映画を集めるにしろ、上映するにしろ、個人と個人の関係を大切にすること、作家のことを考えることだった。」
矢野さんとはほとんどお話しできなかったのに、矢野さんのこうした言葉が映し出される映像や冊子を見つめていたら、私も山形映画祭のみなさんを通じて矢野さんの薫陶を確かに受けていたのだと知り得た喜び。ご友人やご同僚のみなさんのスピーチは、どなたも率直で愛憎いっぱいで、等しく話し終えることが名残惜しそうでいらっしゃいました。これからも山形映画祭のたびに、私も矢野さんの思想や言葉をまた発見していけますように。
そして短い東京滞在ながら、貴重で幸運だった時間の数々。文化はタブーを内包しているという新たな問いと出会った「コロニアリズムが奪う心身の健康」のシンポジウム。いつも時代を見せてくれるような東京都写真美術館での「日本の新進作家」写真展およびトーク。山形で3月に上映会を企画された田畑さんに導かれるように向かった、障がいの有無にかかわらず誰もが楽しめる映画館シネマ・チュプキ・タバタとあたたかき平塚さん。そこで見てあまりに素晴らしかった映画『港に灯をともす』。南陀楼さんが紹介くださりなんとか立ち寄れた旅と暮らしの本屋さん、アンダンテ。
東京はやはり学びと刺激と友情のまちでした。しかし行きそびれた場所、会いそびれた人も多く、きっとまたゆっくり向かえますように。