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東京大学名誉教授の吉田伸之先生からコメントをいただきました!

日本近世の都市社会史・地域史をご専門とする東京大学名誉教授の吉田伸之先生が、『giinika』をお読みくださりコメントを寄せてくださいました!

肩の力がぬけ、とてもいい雰囲気の冊子で、心が暖まります。「ジー」は地域の様々な現実を凝視する、という意味ともうけとりました。そして「ニカ」は共同性をたしかめあうことなのでしょうね。「わたしの会社」を主宰し、またこれにかかわる方々をとても身近に感じさせていただきました。遠く東京からですが、こうした輪に少しでも連なっていられたらと希っています。

吉田伸之先生からは、以前の職場の退職時に澄川嘉彦監督のドキュメンタリー映画『タイマグラばあちゃん』を教えていただいて以来、吉田先生のご著書や山形のドキュメンタリー映画を通じた貴重なやりとりのなかで多くを学ばせていただいてきました。特に、歴史を通じて社会と空間を同時に検証していくこと、社会の周縁部分にいる人びとを見つめることで身分社会全体を明らかにすること、人びとのつながりやものの流れといった関係性から全体的構造を捉えることといった、吉田先生のご研究に一貫する歴史学の方法には、地域雑誌『giinika』も目指すべきあり方において多大な影響を受けています。

昨年に刊行された吉田伸之・森下徹編『読む解く学ぶ 日本近世史 全体史へ《山口啓二の仕事》』(山川出版社)では、都市社会史研究の起点として、吉田先生も師事された日本近世史研究の大家・山口啓二先生の論文が取り上げられています。秋田藩の鉱山に関する記事が豊富な『梅津政景日記』などの史料を紐解きながら、鉱山町住民の職業や出身地といった数量的分析から、鉱山町という都市社会の空間構造や住民階層の構造的特質が導かれていく山口論文の、綿密かつ科学的に積み上げられる考証の迫力を追体験することができます。専門的な内容ですが、論文の各ページには編著者による平易で細やかな用語解説が併記されており、さらには論文に底流する「小経営生産様式論」やマルクスの言及する手工業者・職人に対する概念などといった思想的背景の解説もあり、一般読者にもひらかれた素晴らしい構成です。歴史学を志すうえでも、資本主義社会を歴史的文脈から考えていくうえでも、貴重な叡智と視座に触れることができる一冊だと思います。ぜひご覧ください。

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